Antaa Lab,Design Talkインターン生
小泉穂野香による施工事業者様へのインタビュー

インタビュアー:小泉穂野香
「ポテトを売るのではなく、体験を売る」
——美瑛産ジャガイモ専門店、Potato&Co. が描く、農業と観光の新しい循環
東京から美瑛へ。移住オーナーの想いと、AntaaLabが作り上げた世界観が生んだ1周年の軌跡
北海道・美瑛町に、美瑛産ジャガイモにこだわったフライドポテト専門店「Potato&Co.」が誕生して1年が経ちました。「ただポテトを売るのではなく、体験価値を売る」
——そんなオーナー・市川さんの想いを空間として形にしたのが、同じく美瑛町を拠点に古材の循環に取り組む、私たちAntaaLabです。
本記事では、農業と観光をつなぐ「循環する仕組み」を目指して美瑛にオープンされた市川さんの思いを紹介します。
以下、市川さん→(市川) 小泉穂野香→(穂野香)
美瑛を選んだ理由——農業と観光の「循環」を作りたかった
北海道・美瑛町といえば、丘陵に広がるパッチワークの畑と白樺林が美しい人気観光地です。ジャガイモの一大産地でもありながら、実はその場でジャガイモ料理を楽しめる専門店がありませんでした。
「美瑛のポテンシャルをすごく感じていて」と市川さんは話します。もともと東京に暮らしていた市川さんが美瑛と出会ったのは、スノーボードがきっかけでした。旭岳や富良野など、それぞれのゲレンデへのアクセスに恵まれたこの町の魅力に惚れ込み、移住を決意されました。
美瑛に通ううちに見えてきたのが、オーバーツーリズムの問題でした。観光客の急増によって畑への無断侵入が相次ぎ、農家が迷惑を被っているのです。
「農家さんにとっては迷惑な部分もある。観光と農業がお互いに高め合って共存できる形を作りたかった」
地元農家と直接つながり、美瑛産ジャガイモを仕入れてフライドポテトとして提供することで、農業を観光の魅力に変える。雇用が生まれ、子どもたちの未来へとつながっていく——そんな「循環する仕組み」を作ることが、この店の出発点でした。
「美味しい」だけでは足りない。AntaaLabと作り上げた、美瑛の世界観
お店のコンセプトは一貫しています。
「ポテトを売るのではなく、体験価値を売る」
その世界観を空間として形にしたのが、AntaaLabです。市川さんは徹底的にイメージを集め、「これをこういうイメージで作ってほしい」と細かくオーダーを重ねました。白樺をモチーフにしたライト、ジャガイモカラーの壁、曲線を描くカウンターテーブル、粘土でできたジャガイモのオブジェ——空間を構成するすべての要素に、美瑛らしさが宿っています。
「イメージを伝えると、そのイメージで返ってくる。理想をちゃんと形にしてくれるし、できない場合でも寄り添って、それに近いものに仕上げてくれる」と市川さんは語ります。
「造作系がすごくうまい、職人技みたいな部分がすごいなと思います」
市川さんの持つ細部へのこだわりを、職人の技術で確かに形にしていく。そのパートナーシップがあったからこそ、都会的でスタイリッシュな空間が美瑛の町に生まれました。
さらに話題を呼んだのが、市川さん自身が設計したオリジナルのポテトホルダーです。「数ミリ単位で図面を描いて」完成させたこのホルダーは、ドライブ中でも片手で持てる実用的なデザインでありながら、SNS映えも抜群。SNS映えと使いやすさを両立した、美瑛観光にぴったりの一品です。
「美味しいだけじゃなくて、映えることも大事。選ぶ楽しさ、カスタマイズできる楽しさが、お客様のワクワク感につながっている」
美瑛産 vs 外国産——食べ比べで深まる、ジャガイモの個性
メニューの主役は、もちろん美瑛産ジャガイモのフライドポテトです。しかしここには、オランダ産・ベルギー産の外国産ポテトも用意されています。
「美瑛産はコーティングなし。素のジャガイモの美味しさをシンプルに味わってほしいから」と市川さん。一方、外国産はコーティングが施され異なる食感が楽しめます。それぞれの個性を一度に体験できる「ハーフ&ハーフ」は、食べ比べの面白さもあって特におすすめの一品です。
ディップソースの種類や期間限定メニューも充実しており、何度来ても新しい発見があります。「飽きずにリピートしてくださるお客様が、1周年を迎えてまた戻ってきてくれる感じがします」と市川さんは話します。夏の繁忙期には観光客で行列ができる一方、シーズンオフになっても地元住民がちょこちょこ来てくれるのがこの店の強みです。「近隣の方にも受け入れてもらえた」という言葉に、地域に根ざした店づくりへの手応えが感じられます。
美瑛から、北海道へ、そして全国へ
オープン1周年を迎えた今、市川さんの視線はすでに次のステージへと向けられています。
「まずは北海道内で店舗展開して、最終的には地方にも。本店として1号・2号・3号店まで拡大できたらいいな」
2階ではバーに続いてレストランのオープンも予定しており、1つの建物でさらに多くの体験を提供できる場所を目指しています。現在はスタッフの採用も進めています。
地元住民向けの「町民割」も用意し、美瑛産ポテトをお得に楽しめる機会も作っています。
美瑛の魅力が、ギュッと詰まった一杯
白樺のライト、ジャガイモカラーの壁、ジャガイモのオブジェ——AntaaLabが丁寧に作り上げたこの空間に足を踏み入れると、美瑛という土地の空気が伝わってきます。
「美瑛Potato&Co.は、ただポテトを売るだけじゃない。美瑛の魅力を発信するブランドとして、体験価値を売っている。その世界観を一緒に作ってくれたのがAntaaLabさんなんです。」
農業と観光をつなぎ、雇用を生み、子どもたちの未来へとバトンをつなぐ。市川さんが美瑛への想いを込めて始めたこの店は、一杯のフライドポテトを通じて美瑛の魅力を伝え続けています。
美瑛を訪れたら、ぜひ立ち寄ってみてください。揚げたてのポテトを片手に、この美瑛への想いを感じてみてください。
店舗情報・お問い合わせ
店舗名:Potato &Co.(ポテトアンドコー)
公式Instagram:@biei_potaco ( https://www.instagram.com/biei_potaco )
Potato&Co.は、現在スタッフを募集中です。美瑛の食と観光を盛り上げる仕事に興味のある方は、ぜひ公式Instagramからご連絡ください。
取材・文:AntaaLab インターン生 小泉穂野香
編集・大谷知央